皮膚科医が答える!市販されている〝塗る育毛剤〟って生えてくるの?(2020.10.29)

男性型脱毛症ミノキシジル

医師が処方する男性型脱毛症(AGA)の治療薬『プロペシア』以外に、市販されている男性型脱毛症に有効な育毛剤もある。

その効果はいかほどなのか? 筆者が皮膚科医に解説してもらった内容を、メンズビューティー読者諸兄に向けて、わかりやすく紹介していこう。

ミノキシジルは開発当初、高血圧の薬だった!

皮膚科医「第一にオススメする発毛効果のある外用剤は『ミノキシジル』です。ミノキシジルは当初、高血圧の治療薬として開発されました。

血管を拡張し、血圧を下げるための経口薬でしたが、その薬を飲んだ患者さんたちの頭髪が増え、脱毛症が回復するという副作用が起こりました。それで、頭髪治療へ応用するようになったわけです。

ミノキシジルは、毛乳頭細胞の受容体に結合し、休止期毛から初期成長期毛への移行を促進、および後期成長期毛への移行を促進させ、維持することが示されています。

これらの作用により、細い頭髪が太い頭髪へと成長するわけです」

日本皮膚科学会によるミノキシジルの推奨度はAランク

皮膚科医「男性型脱毛症に対するミノキシジルの有効性を示す多くのエビデンス(科学的根拠)が報告されています。

国内外の試験では、3%から5%のミノキシジルでの発毛効果が示され、大きな副作用はありませんでした。

女性型脱毛症に対しては、国内の試験で1%ミノキシジルでの発毛促進効果が示されました。

以上の根拠により、日本皮膚科学会が作成した『男性型脱毛症診療ガイドライン』では、ミノキシジルの外用は男性型脱毛症に対しても、女性型脱毛症に対しても、推奨度(※)はAとされています。

※推奨度の分類=A:行うよう強く勧められる/B:行うよう勧められる/C1:行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない/C2:根拠がないので勧められない/D:行わないよう勧められる

男性症例に対して5%ミノキシジル外用液を外用療法の第一選択薬として、また、女性症例に対しては1%ミノキシジル外用液を治療の第一選択薬として用いるべきとしています。

5%ミノキシジル外用薬、1%ミノキシジル外用薬は市販されていて、医師の処方箋なしで薬局にて購入できます」

ミノキシジル以外の育毛剤はどうなのか?

皮膚科医「ミノキシジル以外にも育毛剤は発売されていますが、ガイドラインでの推奨度はあまり高くありません。

塩化カルプロニウム(推奨度C1)に関しては、6例以下の症例集積研究が3件、生薬との合剤の試験が2件あるのみでした。さらに、その効果は現段階では十分に実証されていません。

医師は男性型脱毛症患者に対して、塩化カルプロニウム(商品名:フロジン)を処方することは可能です。

しかし、エビデンスがあり、効果も優れているミノキシジルを薬局で購入できる現在、塩化カルプロニウムを処方する意味は、経済的理由以外にはないと考えます。

その他、t‐フラバノン(推奨度C1)、アデノシン(推奨度C1)、サイトプリン・ペンタデカン(推奨度C1)、ケトコナゾール(推奨度C1)などの医薬部外品・化粧品による育毛剤の外用についても、効果は期待できますが、現時点では十分な文献的根拠はありません。

しかし今後、有効性を示す多くの論文が報告されれば、推奨度は高くなるでしょう」

ミノキシジルでも効果が出なかった場合は?

皮膚科医「ミノキシジルは6か月以上外用を継続することが必要で、中止すると以前の状態に戻ります。

外用初期や長期使用後に、一時的に抜け毛が多くなることがある、と説明して患者さんに外用を続けてもらいます。

しかし、1年以上外用しても効果が出ない場合は、男性型脱毛症以外の原因を考慮する必要があります」

 

取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥

藤田麻弥 画像

雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。

 

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