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戦前以来の超ロングセラー整髪料「丹頂チック」をカジュアルに使ってみよう!(2020.12.27)

マンダム丹頂チック

温故知新。どんなジャンルでも、年に1度くらいは「古いもの」を見直しておく必要がある。

男性美容の分野も日々進化しているが、今回取り上げるのは老舗商品。場合によっては「中高年層が愛用するもの」と言われてしまうものかもしれない。が、ここは工夫をして筆者と同じ30代の人にも使えるようにしたい。

この記事の主役は、整髪料である。

東南アジアでも愛された整髪料

マンダム丹頂チック

マンダムの超ロングセラー商品『丹頂チック』をご存じだろうか。

この商品は、何と戦前から存在する。NHK連続テレビ小説『エール』は主人公古山裕一の青年時代を丁寧に描いていたが、これは

昭和一桁時代の華やかな様子を現代の茶の間に伝えるものでもあった。この時代に流行ったモダンボーイの髪型は、丹頂チックが作っていたと言っても過言ではない。

昭和のモダンブームは、忍び寄る戦争の影に勝てず消えていった。その後、日本は太平洋戦争の敗戦を経て戦後復興期、そして高度経済成長期に突入するのだが、この間に丹頂チックは海外に進出し、しかも大成功を収めていたことはあまり知られていない。

60年代後半、インドネシアでは政変により大統領がスカルノからスハルトに変わった。スハルトの政治方針はいわゆる開発独裁というもので、強固な親米路線に基づくものだ。

ここからアメリカの映画や音楽がインドネシアにも流入し、それに影響された美容文化が定着する。

西側諸国で人気の髪形を実現させる整髪料の需要が増え、同時に日本から輸入していた丹頂チックが注目された。そしてそれをインドネシアで生産する運びとなったのだ。

今やマンダムは、インドネシア日系社会の長老と呼ぶべき存在である。現地の若者は、マンダムの整髪料をこぞって愛用している。

意外なボリューム感

そんな丹頂チックだが、現代の若者の目から見ればむしろ新鮮な商品かもしれない。

まず、形状が極めて独特。まるで巨大なリップクリームである。円筒の底部を押し出し、固形の整髪料をそのまま頭髪につける仕組みだ。

マンダム丹頂チック

油性整髪料である丹頂チックからは、かなり強いラベンダーの香りがする。香水などいらないのではないか、と思えてしまうほど。

これを使えばヘアーがかっちりセットされる……と思いきや、意外にもその仕上がり具合は柔らかい。ガチガチに固めるハードジェルではなく、ほどよいフワリ感を残しながらもしっかりと頭髪をまとめることができる、といった具合。

マンダム丹頂チック

そう言えば昔、橋本龍太郎という総理大臣がいた。この橋本首相の頭髪はかなりガチガチのオールバックで、周囲からは「ポマード頭」と言われていた。が、本人曰く「ポマードではなく水性のクリーム」だったらしい。

確かにそうだったろうな、と筆者も思案している。もしも橋本首相が本当にポマードを使っていたのなら、もう少しボリューム感のある膨らんだ髪型になっているはずだ。

ともかくこの丹頂チックは、フォーマルだけでなく工夫次第でカジュアルにも転用できるのではないか……というのが筆者の感想だ。何より、櫛を使えば手に直接整髪料を塗布する必要がない。手軽さで言えば、現代の整髪料に引けを取らない。

丹頂チック=鬢付け油の延長線上?

が、気になることがふたつ。

この丹頂チック、1日の終わりにしっかり洗髪をしなければ、頭髪にいつまでも残ってしまう。特にラベンダーの香りは、洗髪してもだいぶこびり付いているのだが……。

自分より倍以上の年齢の人に話を聞くと、丹頂チックは入浴直後にもつけたりするそうだ。せっかく洗髪したのに、またつけるのか? と思ってしまうが、要は現代の整髪料とそのあたりの発想が異なるということだ。

丹頂チックは江戸時代の人々が使っていた鬢付け油の延長線上、と書けばいいか。

そしてもうひとつ、この整髪料は上述の通り底部を押し出して使うのだが、これがやり過ぎると蓋を被せられなくなってしまう。その場合は最後まで整髪料を出してしまい、底部から差し込んで元に戻す。つまり一方向にしか可動しないというわけだ。

このあたりに気をつけながら、昭和モダンの香り漂う男に変身しよう!

 

取材・文/澤田真一

 

 

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