医師監修! 料理酒1:水1の簡単〝料理酒鍋〟は手足の末端まで温かさが持続(2020.12.30)
手足が冷えて眠れない。かかとが冷えてガサガサになる……。このように、寒い季節になるとつらくなるのが冷え症。
冷えによいといわれる食べ物や運動を試してみても、なかなか効果が得られず困っている人も多いのでは?
そこで今冬、冷え症の人にオススメの新鍋スタイル『料理酒鍋』を紹介しよう。医師監修の元、料理酒鍋を摂取して体温の変化を見るモニター試験を行ったところ、体温の上昇と持続が認められたという。
モニター試験では女性を対象にしているが、リモートワークなどで運動不足になった男性にも冷えは忍び寄っている。ぜひ参考にしてもらいたいデータなのだ。
料理酒鍋を食べると温かさが持続することを試験で実証
料理酒メーカーの老舗であるキング醸造株式会社(兵庫県加古郡稲美町)は、冷え症に悩む女性を対象に『料理酒鍋』と『だし鍋』を食べてもらうグループに分け、摂取前と摂取開始60分後の体温とサーモグラフィーの画像データを比較した。
冷え症に対する料理酒鍋の温まり効果
【実施日】2020年12月
【実施場所】東京都渋谷区 最低気温:6.7℃
最高気温:10.6℃ 室温:20.0℃
【被験者】冷え性症状がある女性10名
年齢20~40歳代(平均年齢:38歳)
すると、『料理酒鍋』グループの方に顕著な体温上昇が認められ、上肢、下肢ともに広範囲で上昇した。
今回のモニター試験では、だし鍋を摂取したグループに比べ、料理酒鍋を摂取したグループの摂取開始60分後の体温上昇率が顕著に高いことが明らかになった。
摂取直後の体温上昇は、だし鍋と料理酒鍋に大きな差は見られなかったが、摂取開始60分後の体温に大きな差が現れた。
料理酒鍋は、摂取前に比べ、冷えやすい手足の末端まで体温が上昇し、それを1時間後まで継続していることをサーモグラフィーで確認。
摂取開始60分後の平均体温上昇率は、だし鍋が0.8%だったのに対し、料理酒鍋は2.5%上昇。これは、料理酒鍋の方が体温上昇の持続効果を得られるということを示している。
モニターを監修した医師、古賀良彦先生はこう解説する。
古賀先生「鍋を食べた直後は体温上昇を得られますが、冷え性の方にとっては持続がポイント。冷えがつらい時期は、積極的に料理酒鍋を摂ることが改善に役立つと考えられます」
知っておきたい冷え性と自律神経の関係
古賀先生「この冬は、冷えに悩む方にとって試練の年です。換気による窓の開放で、暖かいはずの室内に冷たい空気が入るからです。
また、女性に冷え性が多い理由は筋肉量にあるといわれています。筋肉は血液を送り出すポンプのような役割を果たしています。
筋肉量が少ないと収縮が弱く、体のすみずみまで血液が行きわたらず、末梢血管まで血液が届かないからです。
さらに、自律神経も冷えが大きく関与しています。自律神経は、アクセルの働きをする交感神経と、ブレーキの役割をする副交感神経があります。
交感神経が亢進(※1)すると血管を狭くさせ、副交感神経は血管を拡張します。冷え性の方は副交感神経を亢進させ、血流をよくすることがポイントになります」
※1 亢進(こうしん)=気持ちや病勢などが昂り進むこと
料理酒のリラックス効果が末梢血管を広げ、体温を上昇
古賀先生「今回のモニター試験で、料理酒鍋に体温上昇の持続が認められたのは、副交感神経の亢進によるものだと考えています。
料理酒を鍋料理として摂取することにより、リラックス効果が得られ、副交感神経が亢進し、皮膚温の上昇が得られたのでしょう。
皮膚温が上昇したということは、末梢の血管が拡張しているということで、冷え性の改善につながることがわかりました。
その詳しい作用機序(※2)は研究を進めていかなければ明確にはなりませんが、冷えに対する料理酒の効果を生理学的に示すものとして、評価してもいいでしょう」
※2 機序(きじょ)=仕組み、メカニズム
料理酒鍋は汁まで飲み干すことがポイント!
今回のモニター試験で摂取した料理酒鍋は、料理酒と水を1:1で混ぜたスープを使用。料理酒のポカポカ効果を得るのは、汁まで飲み干すことがポイントだ。
また、今年は感染予防の視点から、小鍋を使った“ひとり鍋”を推奨したい。普段、料理をしない男性でも作れる簡単な鍋だから、ぜひ試してみてほしい。
料理酒鍋の簡単レシピ
〈材料〉
料理酒 150ml
水 150ml
鶏ササミ薄切り 50g
カイワレ大根 30g
〈作り方〉
料理酒と水を混ぜて2分沸騰させ、具材を入れて3分煮る。それだけ!
古賀良彦(こが・よしひこ)先生
精神科医。杏林大学名誉教授。医学博士。1971年慶応義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科学教室を経て、1976年杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。アロマテラピー研究多数。産業医として働く人のストレスと長年向き合う他、生活に密着した不調について研究を行う。
