太ももの後ろが硬いと腰痛になりやすい!?整形外科専門医が腰痛改善のストレッチ法を指南(2021.01.13)
腰痛の85%は原因が特定できない!?
厚生労働省調べによると、日本人の病院受診理由は以下の通りである。
男性:第1位=腰痛、第2位=肩こり、第3位=鼻がつまる、鼻水が出る
女性:第1位=肩こり、第2位=腰痛、第3位=手足の関節が痛む
このように、男女とも多数の人が腰痛に悩まされているのだ。ところが、腰痛の85%は原因がわからないというから由々しきこと。
そこで、筆者が整形外科専門医に伺ったことを公開することにしよう。
整形外科専門医「原因が特定できるのは、子供の腰椎分離症、青壮年期の椎間板ヘルニアや椎間関節性腰痛、高齢者の骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折などです。
しかし、原因が明らかな場合は意外と少なく、腰痛全体の85%は診察や画像検査を行っても原因が特定できないといわれています。これを『非特異的腰痛』といいます。
非特異的腰痛には、背骨の周りの筋肉が痛みの原因と推測される筋膜性腰痛や、精神的ストレスが原因の心因性腰痛などが含まれます」
体が硬い人は腰痛になりやすい
整形外科専門医「ただし、腰痛患者さんは体が硬いという特徴あります。前屈して手のひらが床にピタっと付かなければ、腰痛になりやすいタイプだといえますね。
それは、太ももの後ろにある『ハムストリングス』という筋肉が硬いからです。
ハムストリングスが硬くてピンと張りつめていると、膝関節や股関節、骨盤が前に回転する動きまでも硬くなり、腰の負担が増え、腰痛を引き起こすと考えられています」
ハムストリングスを選択的にストレッチする方法
整形外科専門医「そこでオススメしたいのが、ハムストリングスを選択的にストレッチする方法です。
まず、深くしゃがんで、足首を手でしっかりと握り、胸と太ももをピッタリとくっつけてください。
その状態から、息を吐きながら膝をできるだけ伸ばします。その際、胸と太ももが離れないように注意しましょう。
このポジションを10秒間キープし、これを5セット行います。朝と夜の2回行えばより効果的。
元々は、バレエの準備体操だったストレッチです。このストレッチを続けると、腰痛がかなり緩和すると評判なのです」
高齢者でもできるハムストリングスのストレッチ法
ハムストリングスを伸ばすストレッチを続けていると、前屈で手が床につかなかった人も、手のひらが床にかなりつくようになるそうだ。
しかし、若い人でも慣れるまではチトきついストレッチである。高齢で骨粗鬆症になっている人には難しいと思われる。
整形外科専門医「でしたら、高齢の方でも無理なくできるストレッチ法を伝授しましょう。
まず、布団などの上で仰向けになって寝ます。片方の脚を、膝を曲げた状態で上げ、太ももの後ろを両手で組んで支えます。
その姿勢のまま、膝から足先までググっと上げてストレッチ。次に、もう片方の脚も同様にストレッチ。
このストレッチも、自分で膝を伸ばす方向に力を入れることで、太ももの後ろにあるハムストリングスが自然な反射でリラックスするのです。
自分自身で伸びようとして筋肉を柔らかくするため、膝関節、股関節、骨盤の動きがスムーズに。
すると、歩行もスムーズになるので、転倒しにくくなり、骨折するリスクも下がりますから」
取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥
雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。
