円形脱毛症の原因はストレスではなかった!? 重症の場合、治すことはできるのか?(2021.05.30)

髪の毛が抜ける原因はAGA(男性型脱毛症)だけではない。新型コロナウイルスの後遺症のひとつに脱毛もあるし、ストレスが原因でなりやすいといわれている円形脱毛症もある。

特にストレス過多の現在、円形脱毛症は起こりやすくなっているのだろうか? そこで、筆者が皮膚科医から教わった円形脱毛症の知識を、読者諸兄とシェアしていきたい。

円形脱毛症とはどんな病気なのか?

円形脱毛症自己免疫

皮膚科医「円形脱毛症は、本来、バイ菌やウイルスを殺し、自分を守るために働くはずのリンパ球が間違って毛根を攻撃し、毛が抜けてしまう自己免疫の病気と考えられています。

しかし、リンパ球の攻撃がなぜ起こるのか、未だ確実な理由は不明です。

円形脱毛症の多くは、一か所がコインのように円く脱毛する『単発型』。これは、ほとんどが1年以内に自然に治り、治療も必要ないくらいです。また、数か所できる『多発型』もあります。

しかし、広く抜けている場合ほど脱毛が長引き、頭の毛が全部抜ける『全頭型』、全身の毛まで抜けてしまう『汎発型(はんぱつがた)』といった重症の場合は、数年以上続く場合もあります」

円形脱毛症の原因は精神的ストレス?

皮膚科医「円形脱毛症の原因=精神的ストレス、と思われている方は多いですね。

確かに、精神的ストレスがあったときに脱毛が始まってしまう患者さんもいらっしゃいますが、多くの場合はストレスと関係なく始まっています。

精神的ストレスがきっかけで脱毛が始まる人は約2割で、ストレスは原因というより誘因になっているのかもしれません。

その他にも誘因があります。円形脱毛症は、甲状腺疾患、尋常性白斑、関節リウマチ、重症筋無力症などの自己免疫性疾患や、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などを合併することが知られています。

また、脂漏性皮膚炎などの頭皮の皮膚疾患、化学療法の副作用、貧血、梅毒、亜鉛や鉄の欠乏などでも脱毛は起こりますので、これらの有無を確認することも大切です」

円形脱毛症は遺伝する病気?

皮膚科医「円形脱毛症の頻度は人口の12%と推測され、この頻度は日本だけでなくアメリカでも同じです。

また、患者さんの2割程度に家族内発生、つまり血縁の家族にも円形脱毛症の方がいらっしゃいます。成りやすい素質が遺伝しているようですね。

円形脱毛症はどんな年齢でもなりますが、患者さんの4分の115歳以下で始まり、全頭型や汎発型などの重症な脱毛も小児に多くみられます。男女差はありません」

円形脱毛症自己免疫

どんな治療をすれば回復へと向かいやすいのか?

皮膚科医「日本皮膚科学会では、円形脱毛症診療ガイドラインを作成しています。病気が始まってからの期間と脱毛面積に応じて、治療法を決めていきます。

病気が始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用療法や、グリチルリチン、セファランチンの内服療法で様子をみます。

狭い範囲ですが経過が長引くようなら、脱毛部にステロイドを局所注射するなどの治療法もあります。

また、ウィッグ(かつら)を使うと、蒸れるので病気や治療に悪影響があるのでは? と心配される患者さんもいらっしゃいますが、問題ありません。

むしろ、使うことで治療にも社会的にも前向きになれて、QOL(生活の質)が向上します」

代表的な治療法を下に記しておくので、参考にしてほしい。

【ステロイド局所注射】

炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを、脱毛斑に注射で注入する治療法。症状が改善しない単発型、および多発型の成人患者に対して使われることがある。

高い水準の発毛効果がある半面、ステロイドの副作用を考慮し、子供に対しては行わない。また、注射時に強い痛みを伴うことと、副作用として注射部位が陥没する場合があることに注意が必要。

【局所免疫療法】

人工的にかぶれを起こし化学試薬、スクアレン酸ジブチルエステルか、ジフェニルシクロプロペノンを使って、かぶれを起こさせることにより発毛を促す治療法。

最初は12%の高濃度なものをつけて感作(かんさ=特定の抗原を与えて、その抗原に対して過敏状態にすること)させ、2週間後に低濃度なものを塗布、その後、至適(極めて適すること)濃度まで徐々に濃度を上げて治療する。

比較的広範囲に脱毛している患者に対して行われる治療であり、子供にも使用できる。

9割の人に発毛効果があるといわれているが、かぶれや蕁麻疹、リンパ節腫脹(りんぱせつしゅちょう=リンパ節が腫れて大きくなること)などの副作用が生じることがある。

加えて、アトピー性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹がある人は、一時的に症状が悪化することもある。また、治療期間が半年から1年以上で、じっくり取り組む必要あり。

【点滴静注ステロイドパルス療法】

点滴により、ステロイドを3日間ほど短期間で大量投与する治療法。発症後6か月以内の成人患者で、急速に進行する重症例に有効。

発症後6か月以内の患者には約6割効果がみられるが、発症後6か月以降の患者には16%程度しか効果がみられない。そのため、発症後早期の重症患者にのみ行われる。

円形脱毛症自己免疫

 

取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥

藤田麻弥 画像

雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。

 

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