健康な人にも有益!ガンに負けないための栄養素4選(2021.06.26)
ビタミンC、βグルカン、フコイダンは、ガン免疫の要であるNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させる栄養素の代表的存在。
他にもガンにアプローチする栄養素は存在する。ガン細胞やガンが生じたときの身体の反応を利用し、生体に元々備わっている機能を可能な限り高める栄養素だ。
その中で、日常的なサプリメントとしても摂取しやすい4つの栄養素をアンチエイジング専門医に教わったので、読者諸兄と共有していきたい。これらは、健康な人にも有益な栄養素だといえよう。
【ビタミンB群】
アンチエイジング専門医「ガン患者さんは大きなストレス下にあり、エネルギー消費が亢進(病勢などが高い度合いまで進むこと)している状態です。これらの状況では大量にビタミンB群を消費します。
ガン特有の代謝に陥ってしまい、疲労や抑うつなどを感じるようになったとき、適切量のビタミンB群(ガン治療のクリニックにより量に違いあり)を摂取していただくと、翌日に効果を実感されることも多々あります。
また、ビタミンBのガンに対する直接的な作用では、ビタミンB6が大腸ガンの発症を予防しているという報告が。この作用には、ビタミンB6が持つ細胞増殖抑制作用が関与している可能性が指摘されています。
さらに、水溶性ビタミンであるビタミンB群が、脂質に対する抗酸化作用を有していることも判明されています。
この作用は、 ビタミンB群をコンプレックス(ビタミンBの仲間をすべて含んでいる複合体)で服用するときに、最も効果を期待することができます」
【EPA(エイコサペンタエン酸)】
アンチエイジング専門医「EPAは主に魚油に含まれる脂肪酸でn-3系に属します。
亜麻仁油やシソ油に多く含まれるα‐リノレン酸を摂取すると、私たちの身体の中でEPAが合成されます。しかし、積極的なEPAの作用を期待するのであれば、α‐リノレン酸からの合成では心もとないため、直接EPAを摂取するのがオススメ。
ガン患者さんの血液中には、炎症性サイトカインと呼ばれるさまざまな物質が増えてきます。これらのサイトカイン(※1)は、食欲を減らして炎症反応を起こさせ、身体のエネルギー消費量を増やし、体重を減らします。
※1)細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間相互作用に関与する生理活性物質の総称
EPAは、これらの炎症性サイトカインに抵抗する物質をつくるための材料になる貴重な栄養素。そのためEPAを多く摂取することで、ガン患者さんの食欲が増進することや、体重減少が抑性されることを確認されています。
また、EPAにはガンが新生血管をつくることを抑性する可能性があることも指摘されています」
【ビタミンE】
アンチエイジング専門医「EPAはn‐3系の脂肪酸の一種で、これを材料に合成される物質がガンに対して有効な作用を示すことを前述しました。
ですが、ガンに対して有効な物質へと形を変えることができるのは、酸化されていないEPAに限ります。サラダ油を放置しておくと、酸化して変色することを経験されたこともあると思いますが、身体の中でも同様の反応が起こります。
せっかく摂取したEPAも酸化してしまっては、その有効な作用を発揮することができません。
ビタミンEは脂溶性ビタミンであり、抗酸化作用が強いことで知られています。つまりビタミンEは、身体中に存在するさまざまな脂質の酸化を防ぐ役割を担っているのです。
脂質の一種であるEPAが十分に作用するためには、ビタミンEによって酸化を防いでもらう必要があります」
【亜鉛】
アンチエイジング専門医「亜鉛は、遺伝情報が組み込まれている2本のDNA鎖を開列させるときに必要なミネラルです。
亜鉛の役割とは、いうなればタンパク質の合成を指令し、調整すること。代謝回転が早くなっているガンの状態では、亜鉛の需要量は増大していると考えられます。
また、白血球や血小板などの細胞を合成する骨髄は、他の組織と比較して細胞分裂の早い組織。ここがガンの治療で常にダメージを受けると、亜鉛不足によってその機能が低下してしまいます。
さらに、ガンの病態下では、さまざまな要因によってフリーラジカル(※2)を発生することが知られています。
※2)すべての物質は分子から成り立っていて、その分子は原子核と電子からなる原子の組み合わせによって構成されている。通常、分子の中の電子は2つが対をなして安定して存在するが、その電子が対をなさず、ひとつだけ離れて存在することがある。このように対をなしていない電子(不対電子)を持つ原子や分子をフリーラジカルと呼ぶ。活性酸素と混合されることもあるが、活性酸素の中には不対電子を持つものと持たないものがある
私たちの体内でフリーラジカルを消去する重要な酸素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)は、亜鉛が活性中心に配列されています。それ故、亜鉛が不足するとフリーラジカル消去に支障が生じてしまうのです。
さらに、亜鉛には脱毛を予防し、味覚を正常に保つ作用があります。抗がん剤や放射線治療によって起こる脱毛を予防し、それらの治療中に起こる味覚の変化に伴う食欲不振を予防する作用もあるのです」
取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥
雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。
