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見えない矯正!? 透明なマウスピースで歯が動くメカニズムとは?(2021.10.26)

マウスピース矯正ワイヤー矯正

現在、我々が歯科でいちばん注目している治療は“マウスピース矯正”だろう。透明でつけているのがわかりにくいため、矯正を始めるハードルを下げたといわれている。

マスク生活は当分続くと思われるので「今がチャンス!」とばかりに、マウスピース矯正を始める人も多いそうだ。

でも、どんな治療なのか? 従来のワイヤー矯正とはどう違うのか? 期間は? 費用は? 等々、わからないことだらけである。

そこで、マウスピース矯正の世界トップシェアブランド『インビザライン』の認定医である品川東口歯科の川本祐輝先生にお話を伺ってきた。その詳細を公開することにしよう。

今話題のマウスピース矯正ってどんなもの?

川本先生「現在、様々なマウスピース矯正のブランドがありますが、今回はインビザラインを例にとって解説していきましょう。

すべてのマウスピース型の矯正装置は、従来型のワイヤー矯正と違い、透明で目立たず、ご自身で取り外しが可能なので、近年注目を集めています。

インビザラインのマウスピースは3層構造でとてもしなりがあり、フィット感に優れているのが特長です。

ワイヤー矯正はドクターの裁量で、その都度、歯を動かしていくのですが、インビザラインは最初に1回採った歯型を3Dデジタル化し、完了までの綿密な治療計画を立てます。つまり、ゴールが初めからわかっている、ということです。

1~2週間ごとにマウスピースを変えるので、最初からすべてのマウスピースをつくります。枚数は歯の状態によって変わってきますが、50~70枚ほどになります。

1枚のマウスピースを1~2週間装着すると、1本の歯はMAXで約0.25mm動くといわれています。ですから、マウスピースの形は1枚ずつ変えているのです。

ただ、シミュレーション通りに動かない歯もあって。その場合、歯型を再スキャンし、もう1度マウスピースを発注します。追加費用は基本的にはかかりません」

マウスピース矯正とワイヤー矯正のメリットorデメリットとは?

川本先生「マウスピース矯正とワイヤー矯正には、それぞれメリットとデメリットがあります。

まず、ワイヤー矯正のメリットを紹介しましょう。

1本だけ歯並びを治すのなら、マウスピース矯正よりワイヤー矯正の方が早いです。また、マウスピース矯正は、歯をつかんで動かすものですが、そのつかむ歯が小さかったり丸かったりすると、動かしにくいことも。その場合も、ワイヤーの方が動かしやすくなります。

さらに、マウスピース矯正には歯の並びの平行性が必要になります。ですので、歯の生えている向きが極端にガタガタだと、マウスピースが入らないことも。そういう歯はワイヤーの方がいいなと思います。ただ、マウスピースとワイヤーの混合治療を行うことは多いですね。

次は、マウスピース矯正のメリットを解説します。

例えば、出っ歯を引っ込めるとき、スペースをつくるために、いちばん奥の歯を後ろに移動させる必要があります。マウスピースは押して動かすので、そのように歯を1本ずつ移動させるのにとても適しています。

逆に、ワイヤー矯正は、いちばん後ろの歯に固定元がないので動かしにくい。その場合、奥の歯の隣にボルトを打ち込み、ゴムをかけて後ろに動かすことになります。

そして、ワイヤー矯正のデメリットは圧倒的に審美性が悪いことです。さらに、ワイヤーが入っているので、歯磨きしにくいし、フロスや歯間ブラシも通りません。ですから、虫歯になる可能性は高まります。

また、ワイヤー矯正では“ブラケット”と呼ばれる金属の装置を、歯の表面や裏側に付けるのですが、それが取れてしまうことも。外出先で取れてしまって、歯科医院に駆け込む患者さんは多いのです。

マウスピース矯正は目立たないので、よく見ないとわからないほど自然です。1日22時間装着する必要がありますが、それ以外、食事や歯磨きのときに外せるのは大きなメリットといえるでしょう。

ただし、患者さんが装着する時間を守ってくださらないと効果は出ません。こればかりは歯科医師にはどうすることもできないので……。そこがマウスピース矯正のデメリットだと思います」

マウスピース矯正ワイヤー矯正

マウスピース矯正の費用はどれくらい?

川本先生「矯正治療は自費なので、歯の状態や歯科医院によって、かなり差が出ます。マウスピース矯正は、60~100万円くらいだと考えていただければ。ワイヤー矯正でも60~120万円くらいでしょう。

あとは、歯科医院に通う回数が違います。ワイヤー矯正の場合、ワイヤーを調整するために2~3週間に1度は通うことに。

マウスピース矯正ですと、2か月に1度くらいで済みます。その都度支払う診察費の負担は少ないといえますね」

マウスピース矯正の治療期間とは?

川本先生「全部の歯を動かすのか、1~2本動かすのかで、矯正期間は違ってきます。1本だけだったら2か月くらいで治療は終了するでしょう。

多くの歯を動かすのであれば、矯正終了まで2~3年かかるというのが平均的だと思います。

ただ、矯正が終わった後の歯は、治療前の元の位置に戻ろうとする力が働きます。この“後戻り”を防ぐための期間を『保定期間』といいます。その間、リテーナー(保定装置)(※)を装着し、後戻りを防ぎます」

※)リテーナーの使用頻度にも個人差があり「夜だけ」とか「寝ているときだけ」など様々。保定期間も矯正と同じくらいの期間を必要とする人もいる

大人の歯列矯正は45歳が境目!?

マウスピース矯正が注目を集めている現在、子供だけでなく、大人も矯正する人が増えているという。でも、どれくらいの年齢まで矯正は可能なのだろうか?

川本先生「高齢の方でもできます。場所にもよりますが、歯が数本なくても矯正はできます。

私が担当した82歳の方が、最高の治療をしたいとおっしゃったので、前歯を少し引っ込めるためにワイヤー矯正をしたことがあります。

しかし、加齢するほどアゴの骨が硬くなるので、矯正で歯が動きにくくなるのは事実です。

歯を1本抜いて、グッと動かすというアクティブな矯正をする場合、45歳くらいの方でしたら、私自身、少しドキっとします。動きにくいんじゃないかな……と。また、あまり動かし過ぎると、身体が順応しないんじゃないかな……と。

アクティブな矯正をするなら、45歳よりも前にしたほうがいいかもしれませんね」

矯正する前に歯の治療は終わらせておくべきか?

川本先生「歯周病ケアはマストですね。ただ、虫歯の場合、矯正前に治療をしても、仮の詰め物だけにして、矯正を始めたほうがいい場合も。スペース的な問題で、矯正が終わった後にセラミックスを被せるほうが、歯並びがキレイになることもありますから。

矯正は診断に時間がかかるので、虫歯治療をする前にドクターと相談するといいでしょう。“まだ仮の詰め物だけにしてください”とか“矯正には影響しないので、先に虫歯治療を完璧に終わらせてしまいましょう”など、提案してくれるはずです」

22川本先生 お顔写真

川本祐輝(かわもと・ゆうき)先生

歯科医師。公立大学法人九州歯科大学卒業。同大学 歯周病科にて研修終了後、品川東口歯科勤務。インビザライン認定医。日本口育協会会員 口育士。若手歯科医師 約1000人の大規模スタディグループ『30 under 30』1期生でMVPを受賞。鶴見大学歯学部歯周病学講座 臨床専科生。日本歯周病学会 会員。日本口臭学会 会員。MAKE A LINE会員。

品川東口歯科
https://shdo.jp/

 

取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥

藤田麻弥 画像

雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。

 

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