ストレスに疲れた心身を健やかに導く自律神経の整え方(2021.12.24)
54.2%のビジネスパーソンが仕事や職場環境に強いストレスを感じている
厚生労働省「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)」(令和3年7月21日公開)によれば、現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は54.2%(平成30年調査58.0%)だった。
その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の量」が42.5%(平成30年調査59.4%)と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.0%(同34.0%)、「仕事の質」が30.9%となっている。
※「仕事の量・質」は、令和2年は「仕事の量」と「仕事の質」として調査を行った。
つまり前回調査時よりも約4ポイント減少したとはいえ、依然として2人に1人以上の勤労者が、現在の仕事や職業生活に関することでストレスを感じているということになる。
この調査が示すように、現代人は複数のストレスを同時に抱えやすい環境下にあり、いったんストレスを受けると自律神経が乱れやすくなってしまう。
自律神経は交感神経と副交感神経で構成され、この2つがバランスよく働いていることが身体にとって最も重要だといわれている。
健康情報サイトのウェルラボでは、東京マインドフルネスセンター センター長 長谷川洋介先生の監修により、そんな自律神経の整え方に関するリポートを公開している。さっそく、その一部を紹介していきたい。
ストレスで乱れた自律神経のバランスを整えるには
ちなみに自律神経は、運動神経などとは違って自分の意思でコントロールできず、自律して機能する。そのおもな役割は、生命活動を支えることで、
・心臓の動きを調整する
・発汗を促して体温を調整する
・血管を広げたり、収縮させたりして血圧や体温を調整する
・胃腸の働きをコントロールする
といった機能を持つ。
さて交感神経は身体や頭がアクティブに働くときに優位になり、副交感神経は身体や心がリラックスしているときや睡眠中に優位になる。
ところがストレスが加わると、前述のように自律神経のバランスが崩れやすくなる。自律神経は交感神経と副交感神経で構成され、この2つがバランスよく働いていることが身体にとって重要。
ストレスを感じて思い悩んでも、すぐに気持ちの切り替えができればよいのだが、“今”に集中できずに過去の後悔や現在の悩みごと、将来の不安についてずっと思い悩む状態、“くよくよモード”が続くと、自律神経のバランスが大きく乱れ、ストレスホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されてしまう。
その結果、身体の弱い部分(ウィークポイント)に不調が現れやすくなる。ウィークポイントは人によって異なるが、たとえば頭痛、便秘や下痢などの胃腸の乱れ、冷え、気管支炎、女性の場合であれば月経リズムの乱れなど、さまざまな不調が考えられる。
そこで長谷川先生は次のリラックス法を提案する。
呼吸に集中して、よけいな考えや感情から離れる
床であぐらをかき、骨盤を立てて背筋を伸ばす。肩の力を抜き、手はひざの上など、自然な位置に置き、軽く目を閉じる。この姿勢のまま、鼻から気持ちよく息を吸って、鼻から吐くことに集中。途中で雑念が浮かんできたら、心ここにあらずの自分に気づき、なるべく早く呼吸に意識を向ける。最初は5分程度続け、慣れてきたら徐々に時間を伸ばしていく。
蒸気の目もと温め
蒸気での目もとの温めは、いつでもどこでも場所を選ばず、たった10分程度で手軽にできるリラックス法だ。目もとを気持ちがよいと感じる約40度の蒸気で温めると、三叉(さんさ)神経(感覚神経)を刺激。自律神経に影響を与え、副交感神経が優位になるので、リラックスした状態になるという。
炭酸入浴
38〜40度のぬるめのお湯で炭酸入浴をすると、副交感神経が優位になってリラックスできる。また、炭酸が手足の血管を拡張して血めぐりがよくなるので疲労回復にも効果的。数週間続けると自律神経の機能が高まっていく。つまり、炭酸入浴は自律神経のトレーニングにもなるのだ。
関連情報
