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美しく健康的な〝口もと〟であるために〜「2016年 歯の健康シンポジウム」リポート(2016.12.07)

11月8日は日本歯科医師会が提唱する「いい歯の日」。これは同医師会が厚生労働省と展開する「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という「8020運動」に関連するもので、国民への歯科保健啓発の強化を目的に1993年に設定されたものだ。

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そんな啓発活動の一環として、先日開催されたのが「歯の健康シンポジウム」だ。実はこのイベント、1997年から続く息の長いイベント。今年度は『今日からはじめる!いまどき「口もとビューティ」』をテーマに、歯科医師で日本臨床歯周病学会専務理事の武田朋子氏による基調講演や、歯科衛生士の北原文子氏によるブラッシング指導などが行なわれた。その内容は歯周病を中心にその予防や対策、さらに糖尿病などほかの疾病との関連性など興味深いもの。さっそく概要をお伝えしていこう。

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最初に壇上に登場したのは歯科医師の武田朋子氏。講演テーマは女医ならではの「歯と歯ぐき 究極の口もとビューティ」。まずは、口もとの〝黄金比〟の話題から講演はスタートした。

武田 今日は歯周病専門医として歯周病という観点から、口もとの美しさについてお話をさせていただきたいと思います。10年ほど前でしょうか、作家のダン・ブラウンさんが、『ダ・ヴィンチ・コード』という小説を書き、映画化もされました。その際、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品は美しく機能的な数値、すなわち黄金比で描かれていると発表されました。

その黄金比、実は口もとにもあります。それが「スマイルライン」と呼ばれるもので、私たちが心理的な治療をする時、また矯正の先生が判断するときの基準にもなっています。

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しかし、この黄金比も、むし歯や歯周病が関わってくると歯が抜けるなどして崩れてしまいます。実は最近では、歯周病で抜歯をする人は40%と、むし歯より抜歯をする方が多いという結果が出ています。そして日本人の成人では、30歳以上の人の8割が歯周病といわれているのです。

歯の疾病と聞くとむし歯のイメージが強いが、北原先生の言われるように、今や歯周病のほうが深刻な問題。しかも歯周病が恐ろしいのは、むし歯と違って痛みもなく、症状が進行していくことだ。

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武田 みなさんが歯科医院にいくとレントゲンを撮って説明を受けると思いますが、左側は健康な方で、右側は歯周病の方。ご覧になるだけでおわかりいただけると思いますが、歯周病が進行すると、右側の写真のように骨が溶けてしまいます。

では、歯周病はどのように進んでいくのでしょうか。まず歯周病とは、歯肉炎と歯周炎という2つの症状をまとめた呼び方になります。健康的な歯ぐきは薄いピンク色をしており、ブラッシングでは出血しません。ところが、歯肉炎になると、歯ぐきが赤みを帯びて、歯と歯茎の間が膨らんでブラッシングをすると出血します。その原因はプラークに生息するばい菌です。ですから、ブラッシングで毎日ケアしていただくと直すことができます。

しかし歯周炎となり、骨が溶け出すと、ある程度までは治療できますが、元の状態に完全にもどすことはできません。つまり歯周病の予防や初期段階において、日々のブラッシングは非常に大切になってくるのです。

重要なことなので、整理しておこう。まず歯周病には、進行具合によって「歯肉炎」と「歯周炎」という2つの段階があるということ。「歯肉炎」は、プラーク(歯垢)によって、歯肉(歯ぐき)が腫れた状態で、この段階であれば、正しいケアにより、歯肉を健康な状態に戻すことができる。しかし、それを放置して、歯と歯肉が付着している部分が破壊されると「歯周炎」となって、元の状態に戻ることはできない。そんな歯周病の予防とケアには、歯と歯肉の間の溝である「歯周ポケット」に潜むプラークをしっかりと除去することが、何より大切になる。さらに最近では歯周病と他の疾病との関連も明らかになってきたという。

武田 まず糖尿病との関連は、血糖値を上げる物質が歯周病菌から出ているので、歯周病を治療することで血糖値が下がることがわかっています。また、心臓や循環障害にも関係しています。血液に歯周病の細菌が侵入すると心臓の内面に付着して増殖するといわれていて、細菌性心内膜炎を起こします。また、歯周病は炎症ですので、原因菌が血管に侵入すると、こちらもプラークという言い方をしますが、血栓を形成して脳梗塞を起こすといわれています。

また、妊娠中に歯周病を悪化させると、早産が4.28倍、低体重出産が2.3倍、早期低体重出産が5.28倍になるという報告があります。つまり歯周病は全身病のリスクファクターとなっているのです。

今日はスマイルラインなど、口もとの黄金比ということから始めましたが、これまで説明したように、歯周病というのは歯をなくすだけではなく、全身にとても悪い影響を与えます。ですから、歯周病のない口もとは、本物の美しさと健康につながると確信しております。

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