キシリトールガムは、10粒以上噛まないと虫歯予防が効果なかった!?(2017.02.20)
シラカバなどの樹木から採られ、ガムの甘味料としておなじみのキシリトール。この甘味料は一般に「虫歯予防に効果がある」と知られている。
実際、キシリトールには唾液の分泌を促すことで、食後に歯のエナメル質結晶が溶け出す「脱灰」を食い止める「再石灰化」の作用を増強し、さらに有害なミュータンス菌を減少させるといった有益な効果がある。
一見、虫歯予防のお手軽な救世主に思えるキシリトールだが、実は大きな落とし穴がある。
先日別の記事で紹介した『歯は磨いてはいけない』の著者、竹屋町森歯科クリニックの森昭院長によると、「キシリトールは1日あたり5g摂取しないと、虫歯予防の効果はない」という。
もし、歯の健康を意識して1日に何粒かのキシリトール含有ガムを噛んでいても、その中にトータルでキシリトールが5g入っていないと、意味がないことになる。
キシリトール入りガムを扱っているメーカーのサイトを読むと、「1回につき2粒を、1日あたり7回に分けて噛む」というふうに、結構たくさんのガムを噛むことが推奨されているが、この推奨個数が1日あたり5gのキシリトール摂取に相当する。
メーカーによっては、そういった推奨個数が明示されていないが、その場合はガムのパッケージの「栄養成分表示」を見るとわかる。例えば、「14粒当り」で「関与成分キシリトール 7.0g」と記されている場合、14粒にトータルでキシリトールが7g含まれていることになる。
このガムだと、1粒あたり0.5gのキシリトールが含まれている計算となり、5gを取るには1日10粒噛む必要があることになる。
「毎日たくさんのガムを噛むのは面倒」という方に、森院長がお勧めしているが、歯科医院専用販売のキシリトールガム。
これは歯科医院で販売されているもので、マルチトールといった別の甘味料が含まれておらず、キシリトールのみで甘みがついている。
こうした「キシリトール100%」のガムは、コンビニなどで売られている市販品よりも価格が高めだが、1日に噛む個数は減らせるので、結果として効率的で安くつくという。
また、寝る前に噛むと就寝時に爆発的に増える口内細菌の増殖を抑えることができるとのこと。キシリトールを歯のケアに活用したい人は、行きつけの歯科医で専用販売のキシリトールガムを買い求めてはいかがだろう。
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。
