睡眠の質を高める「睡眠環境の作り方」(2018.03.02)

睡眠の専門家・田中先生に聞く、睡眠の質を高める睡眠環境とは?

睡眠満足度が高い働き方改革実践層 働き方改革による「睡眠の質」の効果がみられる

日本人の4人に1人が睡眠に悩みを持ち、「睡眠負債」という言葉が注目されるなど、今の日本にとって睡眠問題は大きな課題となっています。

働き方改革と睡眠の関係について調べた今回の調査で注目すべき点は、働き方改革を実践している人の睡眠満足度の高さです。実践していない人は睡眠に満足している人が3割しかいませんが、実践している人では5割近くまで増えており、これはひとつの大きな成果だと考えられます。

働き方改革というと長時間労働の是正が注目されがちですが、それだけでなく、仕事に対する自分自身の取り組み方の改革でもあります。仕事は“やらされてる感”が強いとストレスに感じてしまいますが、自らの考えで取り組むようになるとやりがいを感じ、自分への自信につながります。

今回の調査で働き方改革を実践している人は、集中力や記憶力なども高くなっていますが、これらは睡眠の効果とも一致しています。仕事のやりがいや自信、そして日々の睡眠満足度が仕事のパフォーマンスにつながると考えられます。

睡眠不足は脳の記憶の整理ができていない状態 新しい情報に対応できず仕事のパフォーマンスが低下してしまう

睡眠には、脳細胞を休める深い眠りの「ノンレム睡眠」と、身体を休めて夢を見る「レム睡眠」とがあり、およそ90分の周期リズムで繰り返されます。私が考える最適睡眠時間は7時間半で、トータル5回の睡眠サイクルです。今回の調査ではビジネスパーソンの平日の睡眠時間は6時間となっているので、睡眠サイクルは4回と1サイクル足りません。

睡眠は脳細胞を修復する時間で前半の深い睡眠では脳の神経細胞の修復・再生が行われ、同時に後半の浅い夢を見る睡眠は脳の記憶を整理する時間で、情報の固定や不要な情報の削除を行います。

パソコンに例えると、前者がCPU (情報処理や計算を行う中央処理装置)回復、後者がメモリとなりますが、メモリは不要な情報を削除しないと、容量が不足し使えなくなります。6時間睡眠では最後の1サイクルが足りず、CPUにあたる神経細胞の修復はできても、メモリとなる脳の記憶の整理が十分にできていません。

パソコンなら新しいメモリを追加できますが、人のメモリは有限なため、不要な情報を上手に削除しながら使っていかないと、新しい情報を取り入れることができなくなります。さらに、脳の記憶を整理できないとメモリを補完するためにCPUを酷使しますが、それには限界があるため、結果仕事のパフォーマンスが低下してしまいます。

この状態を長く続けていると、脳の中でうまく情報処理ができなくなり、日常生活すら困難な状態に陥ります。睡眠不足は実は深刻な問題で、早急な対策が必要なのです。

よい睡眠のためにはまずは仕事を意識的に休むこと。睡眠環境の明るさと音、そして「寝床内温度を一定に保つ」ひと工夫を

現代社会ではスマートフォンさえあれば、それこそベッドの中でも仕事ができてしまいます。夜中にスマートフォンやパソコンを見ることは、真夏の外の光のような強いブルーライトを浴びるようなもので、脳を覚醒させ、体内時計にも影響します。

24時間いつでもどこでも働ける今だからこそ、意識的に仕事を遮断し休むことが肝心です。仕事関係者に「21時以降はPCを見ない」と宣言するのもよい方法ですね。また、明るさ(光)を遮断することも効果的で、私は暗幕カーテンをおすすめしています。そして起きたらすぐに太陽の光を数分ちゃんと浴びれば、すっきり起きられるようになります。

さらに、睡眠時はできるだけ無音状態にすることを推奨しています。目覚まし時計をかけるときは、90分サイクルを考えて、寝付くまでの時間を15分プラスした時間(7時間半睡眠の場合は7時間45分)でセットすると無理なく起きることができます。

今回の調査では、寝室の「温度」にこだわる人の結果が出ていましたが、温度ももちろん重要です。寝床内温度は、暑すぎても寒すぎても覚醒反応を起こしてしまうので、快適な温度を一定に保つことが理想です。

睡眠中は体温調節機能がやや低下し、睡眠サイクルや夢の内容でも体温が変化するので、それに合わせて調整できるとさらにいいですね。より良い睡眠のために温度調整のひと工夫をオススメします。

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田中 俊一(たなか・しゅんいち)先生
医療法人みなとみらい理事長。専門分野は内科、糖尿病。特に睡眠から高血圧・糖尿病までを治療する睡眠代謝内科。元横浜市立大学大学院教授、毎月5000人の糖尿病患者と3000人の睡眠時無呼吸患者が通院する医療法人みなとみらい理事長。

「世界一受けたい授業」、「ヒルナンデス!」、「中居正広のミになる図書館」、「バイキング」などメディア出演も多数。

神奈川県認定のプロジェクトとして実施している「ME-BYO見える化センター」は、県民を対象とした睡眠に関連した未病状態を見える化する取り組みであり、睡眠障害から高血圧、糖尿病までを体系的に治療している。

記事提供:「Men’s Beauty(メンズビューティー)」(小学館)
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