専門家が警告!鶏肉に潜む薬剤耐性菌に要注意(2019.09.11)

日本でも生の鶏肉の約半数から薬剤耐性菌が検出された?!

薬剤耐性菌AMRワンヘルス

食肉には細菌が付着していることがあり、その中には食中毒を起こす細菌も存在している。昨今、感染症を治療する上で重要な抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化しているが、食中毒を起こす細菌の中にも薬剤耐性をもつものがいる。

実際、昨年はアメリカで生の鶏肉を原因とするサルモネラの薬剤耐性菌感染が広がり、少なくとも92人の患者が確認されたと報道された。また、日本でも生の鶏肉の約半数から薬剤耐性菌が検出されたとの報告がある(※)。

※平成29(2017)年度厚生労働科学研究 食品由来薬剤耐性菌の発生動向及び衛生対策に関する研究 より

そこでAMR臨床リファレンスセンターでは、鶏肉を中心に食中毒と薬剤耐性菌について308名にアンケートを実施。その結果、食中毒の正しい予防方法を知っている人が多いにも関わらず、食中毒を経験したことがある人が4割にもなることがわかった。

さらに新鮮な鶏肉にも食中毒の原因菌が付着している可能性は知っているものの、鶏肉に潜む薬剤耐性菌については知らないことも判明。

■4割が食中毒の経験者
食中毒を起こした経験がある人(病院で診断された場合だけでなく、自己判断も含む)は、男女ともに、年代も幅広く4割前後の人が「はい」と回答した。それだけ、食中毒は身近であり、感染の危険性が常にあるということを表している。

薬剤耐性菌AMRワンヘルス

症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐などで、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛が起こることもある。食中毒は、時間が経てば症状が治まってしまうことも多い。しかし、子ども、高齢者、病気の治療中など抵抗力が低下している場合は重症化のリスクがあり、油断は禁物だ。

同センターでは「近年の健康ブームで注目される鶏肉は、安価で食べやすく家庭でも人気の食材。安心して食べるために、薬剤耐性対策に関する正しい知識を一人ひとりが身につけることが大切です」と説明している。

そこで、国立国際医療研究センター病院 具芳明(ぐ よしあき)先生に、調査結果の考察と食中毒や危険な薬剤耐性菌を身体に取り込まないようにするための対策について教えていただいた。

食中毒を予防することがAMR(薬剤耐性)菌対策につながる

〈薬剤耐性(AMR)とは?〉
薬剤耐性のことをAMR (Antimicrobial Resistance)と呼ぶことがあります。

そもそも薬剤耐性とは何でしょうか? 細菌が増えるのを抑えたり壊したりする薬が抗菌薬(抗生物質)ですが、細菌はさまざまな手段を使って薬から逃げ延びようとします。その結果、抗菌薬が細菌に対して効かなくなることを「薬剤耐性」といいます。

〈国連が「2050年にはAMRで年1000万人が死亡する事態」と警告〉
国連は、このままでは2050年までにはAMRによって年に1000万人が死亡する事態となり、がんによる死亡者数を超え、 08~09年の金融危機に匹敵する破壊的ダメージを受ける恐れがあると警告しました。

食中毒の菌では、大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターなどから薬剤耐性菌検出の報告があります。

〈ワンヘルスという考え方〉
鶏、牛、豚には病気を治療・予防したり、成長を促進するために抗菌薬が用いられています。家畜への抗菌薬の使用が食べ物を通じた薬剤耐性菌の広がりにつながっているとして、欧米を中心に、成長促進目的での抗菌薬使用をやめる動きが出ています。

日本でも慎重に用いる方向で見直しが進められています。

人の健康を守るだけでなく、動物や環境にも目を配って取り組もうという考え方を「ワンヘルス」といい、畜産、水産、農業においてもこの考えのもと、世界各国で抗菌薬の使用を見直しています。

また普段の生活での対策は以下のものが挙げられます。

1.鶏肉は中心が白くなるまで加熱する
鶏肉に付いた薬剤耐性菌は加熱により死滅します。中までしっかり白くなっているか確認することが重要。

2.鶏肉を調理したまな板や包丁から別の食材に菌を広げないよう注意する
調理器具にも薬剤耐性菌が付着している可能性があります。

3.鶏肉を触った手でサラダ用の野菜など生食のものを扱わない
鶏肉を触った手には薬剤耐性菌が付着している可能性があり、そのままサラダ用の野菜などを触らないこと。

4.新鮮な鶏肉でも生で食べない
鳥刺しなど、鶏肉は生で食べない。どのような仕入れや調理法であってもリスクは避けられないからです。

5.調理したものは時間を置かずに食べる
加熱調理をしたものでも、原因菌がついていれば、時間とともに増えていきます。加熱したからと安心せず、調理をしたら早めに食べること。

具 芳明 (ぐ よしあき)先生
国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター
情報・教育支援室長 総合内科専門医、感染症専門医
薬剤耐性(AMR)対策を推進するための教育啓発活動や医療現場の支援に従事

関連情報
http://amrcrc.ncgm.go.jp

その他の情報はこちら!

 

男前度が上がったら記事をシェア!
Men’s BeautyのSNSはこちらからフォローできます