〝大笑い〟によるエネルギー消費にダイエット効果はあるのか?(2019.10.09)

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古事記には“笑い”が引きこもりを治した最古の事例が書かれている!?

『古事記』の天照大御神(アマテラスオオミカミ)の話、ご存じの方も多いだろう。

天岩戸に天照大御神が隠れて世界が暗闇になったとき、天宇受売命(アメノウズメノミコト)が奇妙な踊りを披露したことで、八百万の神々は大笑い。

その様子を窺った天照大御神を外に引き出し、世界は光を取り戻したという。これが、笑いが引きこもりを治した(?)日本最古の報告だといえるだろう。

なんとなく身体によさそう、というイメージの“笑い”が、医学的にどこまで研究されているのか、今知るべき情報を開示しよう。

教えてくださったのは、大学院で笑いを研究している公衆衛生学の准教授である。

笑うことで免疫系・内分泌系・循環器系によい効果をもたらす

免疫細胞のひとつであるナチュラルキラー(NK)細胞は、笑うことで活性を高める働きがあるのは、よく知られている。

また、自覚的ストレスやストレスの客観的指標である血清・唾液中コルチゾール、唾液中クロモグラニンを減少させる効果、動脈硬化の初期段階である血管内皮機能の低下を改善する働きも報告されている。

さらに、糖尿病患者の血糖値上昇を抑える働きがあることでも注目されている。

准教授「笑いが糖尿病によいことを最初に報告したのは、筑波大学の村上和雄名誉教授のグループです。

研究は、中高年の糖尿病患者19人を対象とし、2日間にわたって実験。最初の日は、昼食後に糖尿病の講義を40分。

次の日は同じ昼食後に漫才を40分鑑賞し、大笑いしてもらったそうです。両日とも、昼食の前後2時間の血糖値を測定。

すると、講義の日の血糖値の平均は151mg/dlから274mg/dlまで上昇。

それに対し、漫才の日は178mg/dlから255mg/dlまでの上昇にとどまり、上昇値の差は46mg/dl。大笑いすると血糖値の上昇が抑えられたわけです」

ほとんど笑わない人は毎日笑う人に比べて糖尿病のリスクが1.5倍も高まる

そこで准教授は考えた。では、日常において、よく笑っている人は、糖尿病になりにくいのではないか? と。

准教授「というわけで、秋田県○○郡I町と、大阪府Y市M地区のうち、検診を受診した4,780人(男性1,786人・女性2,994人・平均年齢59歳)を対象とし、日常生活における声を出して笑う頻度と、糖尿病の有病率との関連を調べてみました。

その結果、毎日声を出して笑っている人に比べて、週に1~5日程度笑っている人は1.26倍、月に1~3日、もしくはほとんど笑っていない人は1.5倍、糖尿病の有病率が高いことがわかりました」

しかし、笑いが少ないことが糖尿病を発症しやすくなるのか、糖尿病になってしまうと笑いが減るのか、どちらの可能性も考えられる。

本当に笑いが糖尿病を予防するのかどうか、現時点では明らかになっていないという。

准教授「笑いに関しては、まだまだエビデンスが少ないので、大規模介入による研究を実施する必要があります。

経験的に笑いが身体によさそう、というのは誰も否定しません。その経験的にわかっていることを、データとして積み上げていく作業をしなければいけませんね」

笑うことが糖尿病に効くのならダイエット効果もあるのだろうか?

なぜ笑うと糖尿病にいい効果があるのか? 現時点でわかっているメカニズムにひとつとして、笑いが運動になっている可能性があるという。

准教授「笑っている間の消費カロリーは、安静時より10~20%も増加。1日10~15分間の笑いは、1日のエネルギー消費を10~40キロカロリー増加させることが報告されています。

したがって、1時間、落語や漫才で大笑いすると、それだけで結構な運動量が見込まれることに。

また、笑うことがストレス解消につながると、交感神経の緊張を減らし、視床下部・下垂体・副腎皮質系などの内分泌に影響を与える可能性もあります。

すなわち、血糖値の上昇と関連するインスリン抵抗性を改善させたり、コルチゾールの分泌を減らしたりすることで、血糖値にいい作用をすると考えられます」

それを鑑みると、笑いがダイエットになるということ!?

准教授「カロリーを消費しますので、理論的には痩せるはずです。1日15分間笑うと、40キロカロリーの消費。これを毎日続けると、1年で2kgくらい痩せる計算に。

しかし、毎日15分間も大笑いするのは無理なので、笑いだけで運動量を確保するのは難しいかもしれませんね」

最後に、笑いすぎによる弊害(?)も紹介しよう。医学的にいうと、笑いすぎて気胸、いわゆる肺に穴があいてしまった人がいるらしい。

でも。その人は元々、気胸リスクがあったそうなので、健康体での大笑いは問題なし。

ただ、下痢のときに大笑いすると、大変なことになるけれど……と准教授は指摘する(苦笑)。

取材・文/ウェルネス・ジャーナリスト 藤田麻弥

藤田麻弥 画像

雑誌やWebにて美容や健康に関する記事を執筆。美容&医療セミナーの企画・コーディネート、化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンス(科学的根拠)のある情報を伝えるべく、医学や美容の学会を頻繁に聴講。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研プラス)がある。

 

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